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2006 01,22 23:37 |
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平原国家【エルベンシア】
商業と農業で発展してきたこの国に所属不明の怪物軍団が攻め寄ってきているという事で 騒がしくなっていた。軍事国家ならともかく、この国は軍事力に関して決して強力とは言えなかったのである。街の人々は次々と国を出て行き、兵士達は開戦の準備に忙しく駆け回っていた。 「やれやれ、兵隊さん達も大変なこったねぇ~」 酒のグラスを片手に黒髪の若い男性が窓の外を走り回る兵士達を見ている。 その姿は身軽な服装をして頭にはバンダナを巻いてラフな格好をしていた。 黒髪の男は一気にグラスの中の酒を飲み干す。 「そろそろこの国も潮時か・・・とっとと他の国に逃げるかね。マスター、酒オカワリ~」 「ったくお前はいいぜ、エド。俺はこの酒場があるから逃げるに逃げれねぇってのによ。」 黒髪の男・・・エドはマスターから渡されたオカワリを一気飲みし、金をポンと置き立ち上がる。 「ごちそうさん。マスター、店も大事だろうけどさ、やっぱ命あってのモノだねだ。たったと怪物どもの軍団が来る前に逃げろよ。」 “そうするよ”と適当に答えるマスターの声を聞きながらエドはユックリと酒場を後にした。 酒場を出たエドは街の中心に大きくそびえ建つ城に目を向ける。 「今夜はこの国で最後の仕事だな・・・・・。」 宿の自分の部屋に戻ったエドは外が暗くなるのを待ち、暗くなるとベットの上に置いてあるリュックサックを背負い宿を出る。そして人目につかぬように細い裏道を複雑に通り城 の周りにある城壁の前にやってくる。いつもだったら衛兵のいるその場所も戦争前の準備で衛兵が駆り出されているためだれもいなかった。 エドはリュックの中から鍵爪付きのロープを取り出し城壁の上部にそれを投げ鍵爪が引っ かかるのを確認するとユックリと登っていく。 そして場内に入ると一気に階段を駆け上りある部屋の近くまでたどりつく。 曲がり角からこっそり目的の部屋の前を見ると二人の衛兵が槍を持って立っていた。 エドは一旦階段まで戻りさらに上の階に行く。そして適当な部屋に忍び込みベランダから ロープを下へと下ろす。そしてロープを伝って下の階のベランダへと降り立つ。 そこは先ほど衛兵二人が警備していた部屋・・・・豪華な家具に巨大なベットがある。 王の部屋だった。 「さて、お宝お宝・・・・・。」 そう、エドは盗賊だった、王室に宝が置いてあるという情報を得たエドは衛兵の少ない このときを狙って城に忍び込んだのだった。 棚などを一通り探した後、ベットの下を覗くと一つの小さな箱があった。 エドは手を伸ばしその箱を取る。そして中を見ると赤色に光り輝く小型の水晶が入っていた。 その時だ・・・ガタッという物音にエドがベランダの方を見るとそこにはいつの間にか一人の鎧兜を着た兵士が立っていた。しかしその鎧はエルベンシアの兵士のものではなかった。 「あんた、なにもんだ?この国の兵士じゃねぇだろ。」 「そんなことはどうでもいい、その水晶を渡してもらおうか。」 兵士がゆっくりとエドに近づいてくるとエドはリュックに箱ごと赤く光る水晶を入れ腰に 隠してある小型の投げナイフに手を掛ける。 「俺が見つけた宝だ、お前にやる義理はない!!」 そう言って投げた五本の投げナイフだが兵士はことごとく避け、鞘から剣を抜きエドに向けて振り下ろす。エドは横に転がりそれを避けるがベットのシーツがことごとく裂ける。 物音を聞きつけ、外に立っていた衛兵が慌てて部屋に入ってくる。 「貴様らこの部屋でなにをしている!!」 兵士は舌打ちをして衛兵に向けて走る。衛兵も慌てて槍を構えるが兵士は槍を一刀両断し 二人の衛兵を一瞬にして斬り伏せる。 「お前、いったいなんなんだよ!!」 エドは大型ナイフを取り出し兵士に斬りかかるが兵士も受け止め時には反撃してくる。 そして兵士は素早い動きでエドの足を蹴り倒し剣を再び振り下ろす。 「そこまでにしてもらおうか・・・・・フレイ。」 振り下ろされた剣が蒼く点滅する剣に止められていた。蒼い剣を持っているのは赤い鎧兜に身を包んだ金髪の女性。 「なんだ・・・・スクルド。貴様は地上に堕ちても主神を邪魔するのか?」 兵士は顔まで包んでいた兜を外すとそこには眉目秀麗な男の顔があった。フレイと呼ばれたその男は鎧を脱ぎすて剣をスクルドに向け、構え直す。スクルドも蒼く光る剣を構え直す。そして数太刀、剣をぶつけ合うとフレイの持っていた剣が折れて床に落ちる。 「やはり人間が鍛えた剣では神の鍛えた剣には敵わないか・・・・・、主神も困ったものだ・・・、いくら冥土の土産とはいえグラン・スティングを与えるとは・・・・・。」 そういってフレイはユックリと後ずさりベランダに立つ。 「ここは城の高層階の王室だぞ・・・・・・・・・どうする気だ?」 エドが呟いた瞬間、フレイの背中に白い翼が生え空に飛び上がったのだ。 「ドラゴンオーブの確保、今回は諦めよう・・・、急ぐものでもないしな。この国を滅ぼしてから手に入れればいいだけだ。スクルド・・・・貴様は地上に堕ちてまで我々に歯向かうつもりだと主神にお伝えしておこう。」 フレイはそう言い残し空の彼方へと飛んでいった。 それを見送ったスクルドは鞘にグラン・スティングと呼ばれた蒼く光る剣を収める。 よく見れは彼女の背中にも翼があった、ただし黒い翼が・・・・・・。 「あんた達はいったい・・・・・・。」 エドがそう言うがスクルドはエドを一瞥した後ベランダから無言で飛び立って行ってしまった。 「なんなんだよ、いったい・・・・・。」 エドはスクルドの飛び去った方向を見ながらしばらく呆然としていた。 PR |
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