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2006 04,26 23:15 |
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「さて、参謀。物見の報告は?」
作戦会議室、ラルの問いに参謀と呼ばれた男は資料を見ながら口を開く。 「数はおよそ2500、大多数がスクルド様が申した冥界の化け物オークですが、3個小隊程度天使兵も確認されています。」 スクルドとエドはラルの説明でとりあえず解放されると共に客将としてエルベンシアの会議に参加していた。 「コチラの兵力を知りたいのだが。」 スクルドの言葉に再び参謀は資料を見る。 「コチラは前の戦いで相当消耗いたしまして現在1500。割合としては歩兵1000、弓兵400、投石などを行う工作兵100となっております。」 「単純計算でも2倍の戦力差か・・・・・・・、天使兵ということは空を飛んでくるだろうから歩兵じゃ歯が立たないしな。対抗できるのは弓兵と飛べるスクルドだけだ。」 「参謀、歩兵を少し弓兵に回せないかな。」 ラルの提案に参謀は首を横に振る。オーク達を抑えるのに精一杯なのに数を減らすのが無理なのは当然だった。策なしとその場の全員が黙り込んだ中、エドが不意遠慮がちに口を開く 「城壁の外にある堀に架けてある橋を落とすってのはどうだ?」 「それは確かに進入を防ぐ事ができますけど一時的なものですよ。」 「別にただ落とすってわけじゃないさ、篭城すると門に繋がる橋にオークが群がるだろ?その重さで崩れるようにしておくのさ。大体200は橋の崩れに巻き込まれるだろうし相手は混乱に陥ると思う。」 数秒の静寂後、将校達は頷き始める。ラルも頷く。 「いいんじゃないかな、ただ歩兵を出して少しずつ後退して誘い込むほうがいいだろうね。相手に警戒感与えたらうまくいかないかもしれないし。歩兵も弓兵に回す事も可能になるな。」 「そうだな、そして城壁上から工作兵の投石器で混乱に陥った敵軍を攻撃させればさらに混乱は増すだろう。それにあわせてあらかじめ架け橋を用意して歩兵が出撃するときに架ければ追撃も可能だな。私と弓兵はゆっくり天使兵の迎撃に集中できる。」 参謀が慌しく兵に命令を伝え始め、各将校も慌しく動き始める。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 「どうした?」 その状況を呆然と見ているエドにスクルドが肩を叩く。 「いや、こんなアッサリ俺の思いついた案が通るとは思わなかったからな。」 「この国は堀や城壁があるとはいえ軍事国家ではないし、地形的に特殊なわけでもない。当然行える作戦も限られてくる。その中でお前の案が最適だとみんなが判断した、そういうことだ。これをお前に渡しておく。」 スクルドがエドに渡したのは一本の剣。 「これは?」 「封剣クロムヘル、持っていればドラゴンオーブに意識を奪われることも少なくなるだろう。お前には歩兵1小隊の指揮をしてもらうから戦闘のときも剣として使うといい。」 「へ~ドラゴンオーブの力を封じて剣としても使えるなんていい武器だな♪・・・・って俺も戦争に参加!?ついでに1小隊指揮ぃ?」 「今は出し惜しみ出来る状況じゃないのは見て分かるだろう?」 スクルドにそう言われるとエドは何も言えなかった。 その光景を見て、ラルは苦笑しながら口を開く。 「そろそろ準備してもらえるかな・・・。」 「すまない・・・では私は弓兵部隊のところに行く。お前も小隊を掌握しておけ。」 スクルドがそう言い、ドアを使わず窓から翼を使って飛び出して行くのを見送りながら エドは再びため息をついた。 「やれやれアリエッタまで戦線に出るとはこの国も終わりか?」 もうすぐ始まる戦闘のために弓の調子なども見ながら弓兵の男がつぶやくともう一人の弓兵の男も頷く。 二人の目線の先には緊張した面持ちで弓を調整している青長髪の一人の少女。 しかしその手はどことなく危なげで弓の扱いが苦手なことは見て明らかだった。 アリエッタと呼ばれた少女は弓兵部隊の中でも弓の腕は部隊でもダントツの最下位だった。 そんな説明をしているうちにもアリエッタの手から弓が落ち地面に音を立てる。 アリエッタが慌てて取ろうとするが、先に誰かが弓を拾い上げる。 弓を拾い上げた人物はきらびやかな金色の長髪に赤い鎧を着た女性の姿。スクルドだった。 スクルドが呆然としているアリエッタに弓を渡しながら話しかける。 「大丈夫か?」 「え、はい。あの、貴女は?」 「私は今回弓兵部隊の指揮を担当する堕天使スクルドという。よろしく頼む。」 スクルドが右手を差し出す。 「私はアリエッタ一等兵です。あ、あのよろしくお願いします。」 アリエッタがスクルドの手を握り返すとスクルドの無表情な顔がほんの少しだが 驚きの顔になる。なぜか手を離そうとしないスクルドにアリエッタが首をひねっていると スクルドは懐からビー玉程度の大きさの球体を取り出しアリエッタに渡す。 「えっとこれは?」 「とりあえず持っておけ、損はしない。」 そう言って歩き去っていくスクルドをアリエッタは呆然と見つめていた。 エドも自分が指揮をする小隊に自己紹介をしていた。 「今回この傭兵小隊の指揮を担当するエドだ、よろしく頼むよ。」 「うん、よろしく~~~♪」 エドの自己紹介にまず反応したのは見た目十数歳の少女。 身軽な皮の鎧を着ており、手に持っている獲物は刀身が普通より長く反っているナイフを持っており、 先ほどから楽しそうにピョンピョン跳ねながら嬉しそうだった。 そしてその後ろには頬にある傷が特徴的な剣士風の男。 「え~とねぇ~私はテリミアって言うの。それでもってこっちの傷男がガル。 とりあえず最近までこの小隊の指揮をガルと私でしてたんだけどぉ~やっぱ支持とかするのメンドイし、戦闘に集中したいから新隊長大歓迎~♪ね、ガル?」 「ああ、そうだな。やっぱ俺はこれをぶん回すに限るからな。」 ガルの手には人一人の大きさがあるだろう巨大な戦斧。テリミアがスピードタイプだとしたらガルはパワータイプなのだろう。 他の小隊の兵士もいかにも傭兵といったいでたちだった。 正直この傭兵隊を短期間で纏め切れるか不安だとエドは思っていた。 PR |
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